第33回 「座・茶論」
日時 平成28年12月17日(土) 午後2時~
場所 場所 佐賀大学同窓会館(佐賀大学本庄キャンパス)
話題提供 村岡 実 「地場産業の種は何時蒔かれたか」
参加費 諸経費として 200円
連絡先 村岡 実
物事には始めがあり、発展・最盛期を経て、やがて終息する。
佐賀県の産業を調べていく中で、江戸時代中後期には今日まで継続している産業の「種子」が蒔かれていた。櫨と蠟、楮と和紙、陶磁器などががあるが、今回は嬉野茶と当時の対馬藩田代領での「田代売薬」を取り上げる。
1.嬉野茶 1504年に中国(明)から紅令民が嬉野不動山で持参した南京釜で釜炒り茶を製造したことに始まる。1650年以降は吉村新兵衛とその子孫が茶園拡大、販路確立などに努め、幕末時にはブランド嬉野茶を確立した。
明治以降の商品経済体制では他産地との厳しい市場競争があり、最近では外国での急激な緑茶生産と珈琲などの多様な飲料との競合に直面している。県内各地で多くの茶園が衰退していく中で、嬉野茶業の今後を他産業の事例も踏まえて話題とする。
2.田代売薬 対馬藩は朝鮮との外交・通商で重要な地理的位置にあり、不足する食糧生産地として現在の基山町、鳥栖市、養父郡の一部が田代領とされた。享保5~6年(1720~21年)にこの田代領で疱瘡の大流行があり、田代代官所が朝鮮人参を与えた。
田代領では天明8年(1788年)頃に売薬制度ができ、製薬と家庭配薬が一体となった独自の産業として地域に根付き発展した。しかし、当初は田畑の食料生産がおろそかになるとの理由で禁止された。田代の他には越中(富山)・大和(奈良)・近江(滋賀)があった。
現在でも「貼り薬」を主力商品とする久光製薬もその当時に起源する。
「忙中閑あり」 多忙な年末のひととき、茶を手に今年を振り返り、新年に向けての価値の形成・共有へお出かけください、。お待ちしています。
第31回 「座・茶論」のお知らせ
今回は、NPO法人高遊外売茶翁顕彰会(肥前通仙亭)主催の特別講演への参加とします。
日時 平成28年10月16日(日) 午後2時10分~3時30分
受付は午後1時からです
場所 佐賀美術館ホール
講演 狩野博幸 「若冲にとっての売茶翁-ふたりの真実-」
参加費 無料
また、当日は
第一部 売茶翁の顕彰碑建立除幕式典
第二部 特別講演会(上記案内)並びに売茶忌
なども開催されます。
詳しくはホームページ「売茶翁顕彰会」で検索してください。
なお、11月12日(土)13時から、佐賀大学農学部大講義室で「佐賀・茶学会」の講演会・研究発表会です。
第30回 「座・茶論」
日時 平成28年10月1日(土) 午後2時~
場所 場所 佐賀大学同窓会館(佐賀大学本庄キャンパス)
話題提供 宮崎秀雄 「現在の茶業情勢と研究の方向性」
参加費 諸経費として 200円
連絡先 村岡 実
今回は佐賀県茶業試験場の宮崎秀雄さんの話です。
ここでお知らせする当日の概要は極めて短いものですが、当日は茶産業の現状と課題、これに対する試験研究機関の取り組みなど、多岐にわたる茶業最前線の内容になると思います。来場をお待ちしています。
現在の茶業情勢と研究の方向性
宮崎秀雄
今年のうれしの茶の市場流通状況、国がまとめたお茶を取り巻く情勢、佐賀県及び国のお茶に関する研究開発の取り組み状況、ならびに大手ドリンクメーカーの戦略について、最新の情報をお話しします。
第29回 「座・茶論」
日時 平成28年8月27日(土) 午後2時~
場所 場所 佐賀大学同窓会館(佐賀大学本庄キャンパス)
話題提供 横尾暢哉 「食(加工食品)の安全について」
参加費 諸経費として 200円
連絡先 村岡 実
佐賀県内での学校給食には今年になっても異物が混入して問題になっています。
その他、工場製造の加工食品に依存するのが当たり前になってきた日常の食事でも、その安全性が気になります。
横尾さんは、佐賀県を始め、これらの安全対策の研修・講習会の講師として招聘されています。当日の概要は次のとおりです。
食(加工食品)の安全について
アース環境サービス㈱ 横尾暢哉
皆さんは、おいしいお茶を飲んでいらっしゃるでしょうか?
2000年 の乳製品による大規模な食中毒をきっかけに、消費者は加工食品の安全に対して非常に過敏になり、「おいしい=安全」が言えなくなってきました。ここ数年で も、食中毒、異物混入(昆虫、毛髪、金属片など)、さらには、意図的な毒物などの混入、廃棄物として出たカツの転売、アレルギー表示ミスなど、加工食品業 界の食の安全に対する課題はまだ山積みです。
今回は、食の安全を揺るがす事故や回収の事例と問題点、各食品工場が取り組んでいる食の安全に対する活動についてご紹介をしていきます。
1.過去に起きた食品への異物混入事故や回収事例の紹介
2.食品事故の原因とは
3.消費者が知らない(価格に付加されていない)涙ぐましい食の安全に対する活動
第28回 「座・茶論」
日時 平成28年7月23日(土) 午後2時~
場所 場所 佐賀大学同窓会館(佐賀大学本庄キャンパス)
話題提供 松村 司 「佐賀から発信するキク新品種および近年の研究成果」
参加費 諸経費として 200円
連絡先 村岡 実
ア ジア大陸東端の日本、頻発する地震と台風襲来・豪雨なども続くこの地では、少なくとも数万年以上にわたり人々が暮らし、独自の文化が育まれました。16世 紀に渡来した宣教師たちは当時の「茶会」に驚嘆しました。20世紀にはアメリカ在住のルース・ベネディクトは日本人を「菊を愛でる国民」(菊と刀)と捉え ました。
日々の暮らしに花があり、茶がある、これは安らぎと平和の姿です。今回は長年、花卉類の研究に携われてこられた松村司先生のお話です。当日の概要は次のとおりです。
演題:「佐賀から発信するキク新品種および 近年の研究成果」
松村 司
佐 賀県の花きの生産は小規模ではありますが、地域の特性を活かして様々な品目が栽培されています。中でも、県内で最も多く栽培されているのは、キクです。し かしながら、佐賀の近隣には、全国でもトップクラスのキクの大産地(沖縄、鹿児島、福岡、長崎)が存在しています。それらの大産地との差別化を図るには、 オリジナル性の高い新品種に期待がされています。
また、キクは、冬季の栽培では、比較的高い温度の加温を要する品目になります。近年、社会情勢の変化によりA重油の単価が不安定となり、燃油単価の高騰は農家の経営圧迫につながります。
そこで、今回は、佐賀県農業試験研究センターの花き研究担当で取り組んだ試験研究課題の中から、H26年で終了したキクの品種開発および栽培技術の確立に関する成果について紹介します。
(1)佐賀オリジナルブランドとなり得るキクの新品種開発
(2)燃油高騰に即応した秋ギク生産技術の早期確立
(3)自然エネルギー利用低炭素型施設園芸栽培技術の開発
第26回 「座・茶論」
日時 平成28年6月25日(土) 午後2時~
場所 場所 佐賀大学同窓会館(佐賀大学本庄キャンパス)
話題提供 近藤栄造 「人と松と虫たち - 美しくて危険な関係 -」
参加費 諸経費として 200円
連絡先 村岡 実
五月晴れの新緑からアジサイの時節になってきました。
今回は佐賀大学農学部で、日頃は小さくて目にすることがない「センチュウ」(この仲間には昔は多くの人が体内で飼育・扶養した回虫もいます)を研究されてきた近藤栄造先生(現在は佐賀大学名誉教授)のお話です。
当日はこの「マツノザイセンチュウ」、肉眼でも確認できるがその地味な色合いから虫好きを魅了することの少ない「マツノマダラカミキリ」、日本の原風景として馴染みの「マツ」との関係が多くの写真や図を用いて解き明かされます。
毎週日曜日の「ダーウィンがきた」に匹敵する「栄ちゃんがきた」の第1回目です。
緑茶を準備して、お待ちしています。
「人と松と虫たち - 美しくて危険な関係 -」
近藤栄造
松竹梅、門松、庭園、白砂青松などでお馴染みの常緑のマツが、秋になると急に“紅葉”して枯れる。原因は何か。長年にわたる多くの研究者の研究が明らかにした線虫と昆虫の相互依存の関係と、激害型松枯れと日本文化との関係についてお話しします。
主な内容は以下の通りです。
1.佐賀大学キャンパスのマツ
2.日本式庭園等のマツ(九州、京都、東京)
3.マツの特徴と日本文化との関わり
4.松枯れの原因探求
5.マツノザイセンチュウ(PWN)の発見と病原性の確認
6.PWNとマツノマダラカミキリの相互依存
7.細菌毒素(トキシン)の関与を巡って
8.人と松と虫の関係(社会的背景)
9.お茶と松と社会(経済的価値と精神的ゆとり)
第25回 「座・茶論」
日時 平成28年5月14日(土) 午後2時~
場所 場所 佐賀大学同窓会館(佐賀大学本庄キャンパス)
話題提供 村岡 実 「多様な飲料・・その歴史」
参加費 諸経費として 200円
連絡先 村岡 実
現代版「縁側の茶飲み談話」として始めて今回で130回目となります。昭和30年代の縁側では「番茶と漬け物」でしたが、今はその風習もなくなり、独りでペットボトルの茶を手にする光景が浮かびます。
人が移動しながら食料を狩猟採集した頃は生活排水による水質汚濁もなかった。ところが約1万2000年頃前に定住化して作物を栽培し、家畜を飼養し始める「半農耕(中尾佐助)」に伴い、水質劣化、寄生虫、感染症などの新たな課題も生じた。
この頃から利用され始めた土器は食材を煮炊きし、水も煮沸することできた。更に煮沸水と植物の葉や種子の組み合わせ、穀物や果実やイモなどからのアルコール発酵の飲料を作り出し、有害微生物を排除した安全な飲料を手にしたと云われる。
人はいろんな食料・飲料から生存に必要な栄養素や水分を摂取している。人の体の約70%は水分で、老廃物代謝として排出される水分を食物や飲料を介して毎 日約2リットルを補給している。その水分は単なる「生水・煮沸水」ではなく、「カフェイン」、「アルコール」、「糖分」、「ある種の麻薬」を含むものであ る。必要な水分は食材にも含まれていて、これら飲料は水分摂取とは異なる嗜好的な「習慣・中毒性」飲用の面もある。人々が求めたのは食事も飲物も「美味し さ」で、その内容は地域や民族で異なり、「食文化・飲料文化」となっている。
今回は世界各地の飲料の紹介、日本での飲料の歴史、最近の茶類(緑茶、紅茶など)・コーヒー・清涼飲料水などの流通・家計費統計などから、「飲料」を考えてみます。
「佐賀・茶学会」総会時の記念講演に変更はありません。
日時 6月4日 総会は13時、記念講演は13時40分頃から
場所 佐賀大学(本庄キャンパス) 農学部大講義室
講師 小川可楽(小川流煎茶6代目家元)
演題 「売茶翁 -なぜ京都に-」
会費 「佐賀・茶学会」 会員 無料 会員外 1000円(資料代など)
第24回 「座・茶論」
日時 平成28年3月19日(土) 午後2時~
場所 場所 佐賀大学同窓会館(佐賀大学本庄キャンパス)
話題提供 小島孝之 「世界に展開する佐賀農業モデルの構築」
参加費 諸経費として 200円
連絡先 村岡 実
今 回は佐賀大学農学部で最先端の農業工学(農産物の鮮度保持と流通、廃棄物の有効活用、施設園芸の省エネ・収量品質向上など)に取り組まれ、現在はこれらに 加えて医学分野でのメディカルイノベーション研究所の設置、シンクロトロン光の利用促進、更に佐賀農業の新たなモデル(農産物6次化と世界に日本食食材を供給するコンテナ輸出プロジェクト立ち上げ)構築などに取り組まれている小島孝之先生のお話です。
当日は、それらの内容に加えて、日本人の思想・哲学を形作る要素・基底のお話もあります。当日の概要の一部を転記します。
『・・・・ ちょっと昔は、士農工商・・・の身分制度があり、身分、権威?節理、恥文化が、村、家族全体で保たれていたように思えます。そのような、窮屈そうな過去 の時代に、それぞれに伝統的な考え方、哲学(武士道、はがくれ)が生まれ、日本文化を醸成してきました。これらの基盤が、開国後の近代化に対応しつつ、異 文化を取り入れ、さらに新しい仕組みを作り上げていくことができたように感じています。
今は、職業それぞれが、経済的価値配分で差別化される時代になり、経済配分の上でも、差別化される時代になっていると感じます。基本的には、食糧、水、空気、エネルギーの自給率を高めながら安全社会を構築することが大切です。
今回は、私が係わっている農業問題、生産から6次化までについて、皆さんと懇談したいと思います。』
第23回 「座・茶論」
日時 平成28年2月27日(土) 午後2時~
場所 場所 佐賀大学同窓会館(佐賀大学本庄キャンパス)
話題提供 井上英幸 「西オーストラリア花紀行」
参加費 諸経費として 200円
連絡先 村岡 実
「花の便り」とは桜ですが、昔は梅でした。そろそろ「梅とウグイス」の時節になります。
今回は佐賀、日本はもとより中国やオーストラリアなど多くの国々で植物の調査をされてきた井上先生によるオーストラリアのお話です。
概要は次のとおりです。
西オーストラリアへの花紀行の記録は1999,2000年のもので、いずれも9月末~10月上旬の6泊8日の旅でした。
オーストラリアでは春の盛りで、花の多い時期でした。コースは州都パースから最南端の町アルバニーにかけてのフラワーロードです。
広大な大陸の極ごく一部に過ぎませんが、多くの植物を観察することが出来ました。
その感想を一言でいえば「珍奇な植物の宝庫」と言えます。それはその殆どがオーストラリア固有種だからです。
今回はその一部になりますが、撮影した花々を紹介します。
なお、3月は3月19日(土)です(第三土曜日になります)